成田、ニューヨーク、そしてアイスランドのレイキャビックへと、今までにない長い飛行です。そこからさらに東へ2時間飛ぶと、小さな流氷、そしてわずかにグリーンランドの山並みが見え始めます。それだけで十分興奮です。グリーンランドの東部クルスクからさらに北への2時間は、まさに感動的な風景が続きました。海は白く凍りつき、色々な形状の山々がどこまでも広がっていました。それらのほとんどの山々が名前も無く、また未踏峰です。
そして最大の目的、ビックウォール探しに、ヘリコプターに乗りこみフライト。地図上では1000メートル級の岩壁の存在を示していましたが、今年の夏を決定づける重要な時間ということもあり、わずかですが緊張しました。
氷河を見下ろしながら深い谷を進むと、600メートル級の岩壁が現れはじめました。さらに奥へと入ると岩は恐ろしく巨大になりました。僕らはそこで最も大きいと思われる1200メートル以上の大岩壁に注目しました。それは世界のビックウォールを見てきた僕でも驚くほどの素晴らしいものでした。願っていたものが、そこにあったのです。僕らは、オルカ と仮の名前を付けたこの岩壁に、この夏挑みます。