前半はキルギスの東、ハンテングリ、標高7010mです。いきなりヘリコプターで4000mのベースキャンプに入ったのは少々きつかったですが、2週間後には強風と言うよりも嵐のような天候のなか無事に登頂に成功しました。易しい一般ルートとは言え、まともな順応運動をしなかったためか登頂後はバテバテで2日間は食べては寝てを繰り返すしかありませんでした。しかしこの久しぶりの低酸素体験から、少しはまだ体が動けると自信がついたので来年の春くらいにアルパインスタイルでヒマラヤの壁に再び挑戦しても良いかなと漠然と思ったりしていています。
後半はキルギスの西に位置するカラフシンはアクスウ谷でのビックウォールクライミングでした。この土地は専門誌「岩と雪」1991年にカラー写真で紹介されましたが、そのころから気になっていました。
リンゴとドライアプリコットを食べながらの長く暑い2日間のキャラバンで大岩壁に囲まれたベースキャンプにたどり着きました。
最初に登った山はロシア正教100周年峰と言う一風変わった?山名ですが岩自体は素晴らしく標高差1300m、実に38ピッチの登攀、下降にも30ピッチも必要でした。グレードも5.10を超えることがなかったのでオールフリーです。これだけ長いとテクニックよりもパワーの重要性を痛感する登攀でした。
カラフシンではもう一本、その名はセントラルピラミッド。こちらは悪天候のため稜線までの易しい40メートルほどを残し下降したので完登とは言えませんが良質の花崗岩に充実した時間を過ごせました。こといらはグレードが高く6a以上が10ピッチもありました。
さてハンテングリはソ連時代に一般外国人に開放された時は日本からも多くの登山者が向かいましたが今は人気がないようで、今年も日本からは僕らだけでした。現在ではヒマラヤの易しい山の方が人気が高いのでしょう。
カラフシンの方は情報の少なさからか日本のクライマーは挑戦しませんでしたが、今後強いクライマーたちが訪れる可能性を十分に秘めた素晴らしい土地だと感じました。
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