TAHURATUMはとても形の素晴らしい山で、久しぶりに見惚れてしまう対象だっただけに登れず残念です。さて1991年に登ったブロードピーク以来ヒマラヤやカラコルムのいわゆるエクスペディションも20年になります。その間に20以上の高峰の岩壁や氷壁を求めてきましたが、自分の身体と心に高峰に対応する能力が少なくなっているのではないかと、2年前のチベットの山で感じていたのですが今回のTAHURATUMでそれが決定的なものになったようです。
今までが頑張りすぎたでしょうか。特に過酷なソロクライミングでは肉体は痛みつけられ回復できないくらい徐々に弱っていったのかもしれません。もともと運動能力がそれほど高くないのに、一生に何度も引き出せないようなパワーを幾度も発揮してしまったかもしれません。また精神面でも何しろあれだけ美しい山を目の前にしてチャンスが少し残っているのに頑張らないのは以前では考えられない事です。今回は全てにおいて衰えを認める登山になりました。それでも・・・けして大きなことでもなくて良いから何かを目指したいとは現在も思ってもいますが。