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小さな入り江の宿の人に聞くと、僕が目指す岩峰へも昔は道があったようですが、現在は草木に覆われ歩けないだろうと言われました。それでも計画どおりクライミングギアを詰めた15キロほどのザックを背負い出発しました。予想以上に木も高く藪も深くほとんど視界はありませんでした。2時間ほど体をボロボロにしながらジャングルのような地を前進しました。もちろん携帯電話もGPSも簡単なコンパスも地図もありません。方角も失い遭難しそうな状況を少し楽しみながら歩きました。そして脱水に我慢できなくなったころ意を決して60度の草がついた傾斜地を200メートルほど滑り下りたのです。そこは人が下りた気配の無い海岸でした。
結局、時間切れで小さな石でのボルダリングと易しそうな10メートルほどの岩をフリーソロしただけで目指す岩峰にはたどり着けませんでしたが、近いうちにまた訪れたいと思っています。