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先日、奇跡のようなことが起きた。一匹のツノが曲がったオス、成虫になり間もなく死んだ。そのカブトムシを土に埋めず、納屋の片隅の雑誌の上に置いた。するとどうだろう、一週間以上そこに放置していたにもかかわらず、ある日突然に動きだしたのだ。それも一寸刻みに。しかしそれも僅かに2日間、次には本当に動かなくなってしまった。いったい、あれは何だったんだろう。
しばらくの間、北アルプスへ長期の単独縦走に向かう。長い登山経験のなか、ほとんどを垂直の世界にエネルギーを注ぎ、軽い装備で素早く動くことを目指してきた。今までは、縦走に時間を割く余裕がなく、北アルプスの稜線もまともには歩いていない。岩場や氷壁を求めるために穂高や鹿島槍など同じ頂ばかりに向かっていた。またある事情から、今年は海外の山には出かけないので、国内で面白そうなことを探して、実践したいとも考えていた。
今回は縦走しながらも幾つかの岩場も巡る予定なので、ザックが久しぶりに重い。
軽量化できる食料は、朝はシリアルやマッシュポテト、夜はアルファー米のみ、テントや寝袋も小さい。はたしてこれで耐えられるのだろうか。食料の量も含め、この夏は天候も気になる。いくらでも逃げ道のある今回のルートでは、途中で諦めてしまう可能性もありそうだ。
とりあえず、いつものような根性で頑張らずに、今回はゆっくりと山や岩を味わいながら、北アルプスの稜線を歩こうと思う。
なお、この美しい写真は、先月剣岳に一緒に行った友人が撮影したものです。
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