
標高が高く、人が触れていないと思われる岩を適当に見つけ、初見で登る。そこで選んだのが中央アルプス北部だった。稜線を歩きまわること1時間、最初は魅力的な岩は見つからなかったが、長年の登山経験から岩を探り当てる嗅覚が発達しているのか、恰好の良い岩峰に美しいラックが25mほど走っているのを発見した。ハンドサイズのクラックは右上しフィンガーサイズまで細くなっている。標高2800mに酸素の薄さを僅かに感じながら、良質の花崗岩のクラックに指をねじ込んでいく。気分は最高だ。実際は見た目よりも難しく5.11a位いか、近場にあれば人気ルートになるが・・

奥多摩、前日の雨で濡れていた白妙の岩から始まり、急登のアプローチがある氷川屏風岩に移動し、最後に大きな越沢バットレスを登った。ヒマラヤに頻繁に向かっていた頃は、この継続をロープを付けずに一人で行っていた。今回は仲間がいたが、自転車を息を切らせながら走らせていると懐かしい記憶が幾つも蘇った。
