三宅島の岩

2017年11月20日

ロッククライマーとして集大成にと考えていた三宅島の岩が壊れてしまった。

先日、三重県の楯ヶ崎にある7メートルも水平に張りだしたルーフクラックを登りに行った。先月の瑞牆のクラック同様に2~3人程しか完登者はなく、グレードは3段~4段位と難しい。初日に個々の動きは解決したものの、核心部と思われる個所は、握力に乏しい僕にはとても厳しく感じたが、休養(アジ釣り)を挟んだ2日目のトライで登ることが出来た。しかし気持ちは今一つ晴れ晴れとしない、あの課題が壊れてしまってからの成功だから・・・
実は瑞牆も楯ヶ崎も全て三宅島へのトレーニングの一環だった。ロッククライマーとしては、すでに致命的な欠陥もあるうえ、年齢的にも向上を求める岩登りはそろそろ限界ではないかと感じ始めていた時に、三宅島で誰も登っていない大きくオーバーハングした岩に出会った。それ以来何度か挑戦するたびに、その岩の魅力は増し続け、これを登れれば残りのロッククライマー人生はもうどうでも良いとさえ思えるようになっていった。肉体のピークは過ぎても1本の課題にだけ合わせたトレーニングをすれば登りきれるとも考えていた。しかしその絶対的な目標が壊れてしまった。知人の話によると台風時の大波で壊れたようだ。残念ながら夢が砕け散ってしまった。最初に一報を聞いた時はショックではあったが、大自然のエネルギーを想像するにしたがい何故か笑いが込み上げてきてしまった、全く自然と言うやつは・・と。

雪と氷の世界の登山においては、まだやりたいことが残っている、岩も全てを掛けても良いと思える課題にまた出会えたら嬉しい。

黄色のTシャツで登っているのが、その課題でした。

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