イタリアのオルコ渓谷に２０日間行ってきました。あまり有名ではないオルコに向かったのは、そこにGreenspitと言うルートがあるからです。自分の肉体を考えると限界的な山や岩を挑戦できる時間も残り僅かと思うなか、触っておかなければ一生心残りになる岩がありました。それがオーバーハングしたクラックGreenspitでした。10代の時からフリークライミングを楽しみ、特にオーバーハングしたクラックが好きでしたが、10年ほど前にGreenspitの映像を見たときから何時かは挑戦してみたいと思っていました。グレードは5.14ａあるいは13dと、僕には能力に見合っていない無謀すぎる高グレードです、しかし5ヶ月間、アルパインクライミングを控え、フリークライミング中心にトレーニングしました。目標のルートを想定し自宅のクラックマシーンで、あるいは岩場でも似た形状のものを選び登ってきました。大きな技術的な問題としては、ルートは左上していくため右足の先端をクラックにねじ込んでいく動きがとても重要になる点でした。(残念ながら指を切ってしまった方が右足)

オルコ渓谷到着してから延べ６日挑戦しました。結果は登れませんでした。１ヶ所だけどうしても出来ない動きがあったのです。完全な力不足でした。オルコ渓谷では他の素晴らしいルートも挑戦し、それなりの成果も出ましたが、少し悲しみが残る旅となりました。今でもGreenspitの何度やっても出来なかった両手アンダーから右足フックしてから右手を伸ばす動作と岩の感触だけが繰り返し思い出されます。